人材育成コンサルタント&社労士の浜田純子です。
お客さまが、その会社から離れてしまうときとは、どのような時でしょうか?
クリーニング屋さんの場合を考えてみましょう。
クレームが上がってくるとき…
私たちが一番気になるのが、「クレーム」を受けたときです。
目の前で言われた小さな不満から、後日書面で届く大きな不満まで
クレームの形態は様々です。
ある1人の人がクレームを言った時には、
クレームを言わないまでも同じような不満を感じた人は、
おそらくその何倍、何十倍もいらっしゃることでしょう。
こんな場合、私たちが恐れる「クレームを言った人」は、
その対応如何では、実は「上顧客」になってくださる場合も多いものです。
一方、「クレームは言わないけれど、不満を感じていた人達」は、
実は要注意のお客さまなのです。
私たちの気づかない間に自然に足が遠のく可能性があります。
たとえば、その地域には、そのクリーニング店しかなく、
またリーズナブルな料金体系だったとしましょう。
こういう場合には、立地や料金上の問題から、少々は我慢しても
引き続き利用している「要注意のお客さま」もいらっしゃるでしょう。
しかし、それに甘んじていては、大変なことになります。
「要注意のお客さま」は、その店舗に満足してくれているわけではないからです。
こんな状況の時、近所に、同じくらいの料金できれいに仕上げてくれ、
しかも感じの良い応対をしてくれるクリーニング店ができたらどうでしょう?
潜在的に不満を持っていた顧客は、一気にそちらに流れてしまいます。
そして、こういう状況になっても、
顧客離れの真の原因に気づかない店舗が多いのも現実です。
特別良いとも悪いとも思わない多くの顧客
次に、そのクリーニング店を別段良いとも悪いとも思わず、
淡々と使っているお客さまはどうでしょう?
つまり、特に不満はないけれども、大変満足しているかというとそうでもない。
「まあこんなものだろう」と思っているレベルの顧客です。
実は、こういう人たちは、不満があるわけではないので、クレームを言ったりはしませんが
非常に「浮気っぽい」のです。
今のところよりも少しでも良いと感じたら、簡単に離れていくわけです。
私たちだって、自分が顧客の立場になれば、容易に想像がつくでしょう。
つまり、「このクリーニング店は素晴らしい!好きだ!」と思ってくれる顧客でなければ
誰もが離れていく可能性を持っているということです。
他社との差別化を図るために必ず必要な接遇の心
だからこそ、業務や接客対応において、
他店と差別化できるものを持っている必要があるわけです。
今では、インターネットによる申し込みにより、
自宅にいながら宅配便でやり取りのできるリーズナブルなクリーニング店や、
驚くほどの高料金がかかるけれども、どこに出しても取れなかったくすみや黄ばみも
新品のようにきれいにしてくれるクリーニング店など、
独自のサービスを打ち出すことで、差別化している会社も多くみられます。
しかし、それらの「業務」プラスアルファとして、必ず必要なのが
「顧客を大切にしていますよ!」 という心を持っているかどうか、
そしてもっと大切なのが、それを相手に届けているかどうかです。
これからの時代は、「接遇力(接客時の心遣い)」がものをいう時代です。
それは、大手企業でなくても、小さな小売店だって同じこと。
少しの工夫と努力で、多くの顧客に愛される商売をしたいものです。