人材育成コンサルタント&社労士の浜田純子です。
昨日、年俸制の残業代について、コラムを書きました。
今日は、もうひとつ、年俸制を採用する場合に気をつけたい割増賃金の計算方法について、取り上げます。
年俸に賞与を含む場合の 『賞与』 の扱いです。
ところで、割増賃金を算出する方法は、法令で決められています。
簡単にいうと、ひと月あたりの給与を、月あたりの平均所定労働時間数で除した金額に、
割り増し率を乗じた金額となります。
※ ひと月当たりの給与に、下記の7項目は含みません。
「家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、
住宅手当、臨時に支払われる賃金、1か月を超える期間ごとに支払われるもの」
では、具体的な年俸制の例をあげてみます。
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年俸が600万円
そのうちの15分の1が各月の給与で、残りの15分の3は賞与であるとあらかじめその額を決めている場合
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ポイントは、この例のように、あらかじめ賞与の額を決めているような場合には、
この賞与分も含めた金額を給与とみなして計算しなければならないということです。
理由は、支給額があらかじめ確定しているものは賞与とはみなされないためです。
ただし、15分の3という大枠はあっても、
実際の賞与は業績によって変動する旨定めてあるような場合は、含めなくてもかまいません。
つまり、この場合は、割増賃金の計算のもとになるひと月あたりの金額は、
年俸の15分の1ではなく、12分の1となります。
600万円÷15=40万円・・・実際に支給するひと月あたりの給与
600万円÷12=50万円・・・割増賃金の計算のもとになるひと月あたりの金額
(上記においては、家族手当等の 『控除する7項目』 はないものとして考えています)
毎月の給与は40万円ですが、
割増賃金を計算するときには、50万円を平均所定労働時間で割るのです。
業績を給与として反映できるというメリットを持つ年俸制ですが、
導入の際には、このようなも考え合わせる必要があります。
年俸制は、時間外手当の必要のない管理監督者のような社員であれば、
使いやすい制度かもしれませんね。