人材育成コンサルタント&社労士の浜田純子です。
前回『「報連相」の重要性と難しさ』というタイトルで、コラムを書きましたが、
報連相がうまくできていないことにより起こる事例を、具体的に挙げてみます。
ある中小企業の会社・・・
優秀で将来を期待されている社員Aさん。
顧客との対応も良いし、様々なアイディアを出し、貢献しているのですが、
まだまだこれでは…と思うところがあるのです。
それが、報連相が不足しているということでした。
たとえば、ある時、社長に対して、このような報告がありました。
Aさん:「明日は〇〇会社の△△部長の奥様のお葬式に参列してきます。」
「えっ! 聞いてないけれど」と社長・・・
報連相が遅すぎるのです!
もう少し前からわかっていただろうに、突然明日参列するという報告では、
驚くのも無理もありません。
社長には社長の役割があり、当然のことながら大切な取引先に関する状況を把握したうえで
適切な対応をしなければならないことは明らかです。
Aさんは、社長に余計な負担をかけずに、対応することが良いと思っていたため
あえて、社長に話すことなく、身の振り方を決めていました。
この認識の違いの原因は何でしょう?
組織の中では、それぞれの立場で行うべきことがあるはずですが、
そこに気づかなかったことです。
取引先の顧客に関しては、直に関わる自分が対応すればよいという、間違った解釈なのです。
取引先は、自分の顧客ではなく会社の顧客であり、
会社の総責任者は社長であるという認識が足りませんでした。
このように自分がその立場でないゆえに、気づかないことも多いでしょう。
だからこそ、まめな報連相が必要なのです。
自分が対応するにしても、それを含めて、大切な顧客任官する情報は
いち早く上司や社長には共有するべきなのです。
何もかも上司に頼り、言われるままに動くというのも
積極性という観点からすると、問題なのかもしれません。
しかし、自ら積極的に動こうとも、それを早めに報告しておくことが肝要なのです。
「こういう状況なので、自分はこうしようと思います!」と。
この例で行くと、当然ながら、たとえ列席しないまでも、
社長からの弔意を取引先に伝えるべきであることは、言うまでもありません。
このような場面で、上司や社長が何も知らない状況では、
それ以降の対応にも大きく影響してきます。
ある別な会社での事例では、
価値観の違いから、長く付き合ってきた顧客と交渉がうまくいかなかった案件がありました。
創業以来の顧客でした。
担当のBさんは、今年主任になったばかりの優秀な人材です。
その案件について、上司である部長に報告が行ったのは翌日夕方でした。
Bさんの考えは正しいと言えば正しいのですが、
自社にとって不利な条件を提示された交渉において、
ちょっとした言葉の使い方が仇となり、誤解をされてしまったようでした。
早く上司に報告していれば、
上司からの適切な対応により、誤解を解くことも可能だったかもしれませんが、
報連相の遅れにより、叶いませんでした。
組織は、それぞれの役割を持って、同じベクトルのもとに力を結集し、
成果を求めていくチームです。
個性ある一人ひとりの力を最大限に活用して、利益に繋げます。
しかし、組織として一つの目標に向けて歩むからには
そのメンバー間の情報、状況、戦略などの共有が欠かせないのです。
報連相とは、決して新人ばかりが意識するべきことではありません。
価値観も個性も違う人材が集う組織では、
報告し合うこと、連絡し合うこと、不明な点については相談し合うことは、必須です。
業務に関する知識、技術、能力をうまく生かすためには
その裏での報連相の充実が不可欠ですね。
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