人材育成コンサルタント&社労士の浜田純子です。
医療機関で、接遇マナーが重視されるようになってきています。
特に大学病院や大手総合病院などでは、
多くのところが何らかの形で、接遇教育の機会を設けているようです。
接遇を徹底することで、他の医療機関との差別化を図ろうとしているところもあれば
年に1、2回、福利厚生のような形で、
自由参加の接遇教育の場を提供しようという考えのところもあります。
病院の規模が大きくなればなるほど、スタッフも正職員からパートさんまで莫大な人数になりますので
全員への徹底は難しいといえばその通りです。
しかしながら、患者さま満足度を底上げするのであれば、やはり教育を戦略的に行うことが必要です。
横のつながりを意識する!
ところで、大きい病院では、警備から受付・会計、外来、検査、入院病棟、薬局、また、
病院によってはソーシャルワーカーの皆さんがいらっしゃる場合もあり、
部門も職務も大変広範囲にわたります。
そして、意識するべき大切なことは、来院された患者さまは、
次から次へと様々な部門の人たちとのかかわりを持って帰られるということです。
一方、スタッフはというと、規模が大きいばかりに、概して縦割り的な感覚である場合が多く、
一人の患者さまをみんなでフォローしていくような横のつながりへの意識は、希薄になりがちです。
つまり、患者さまはいろいろな部門のいろいろなスタッフを知っているけれども
肝心な病院スタッフ側は、自分たちの持ち場のことしか見えていないことが多いということです。
そして、患者さま満足度は、かかわるすべての場所において、
一定の満足感を得られなければ難しいのです。
受付、看護師、検査技師、営業等どいろいろな部門の方を一堂に会しての研修では
「他の部門の人たちのことがわかりよかった」という感想を必ずいただきます。
大規模な病院での接遇教育においては
各部門ごとに必要な接遇のあり方はもちろん異なるのですが、
各ポジションのスタッフがどのような働き方をしているのかを実際に実感できるような場も
設けることで、横のつながりをも意識することが大切なポイントの一つになります。
部門ごとに、求められる接遇の形が異なる
小さいクリニックと異なり、大きな病院では、各部門ごとに患者さまが満足すべき接遇の形が異なります。
それは、求めるものがそれぞれ異なるからです。
病院と言えば、「優しい看護師」のイメージが強いものですが、
たとえば、「受付」は、「病院の顔」です。
企業における受付同様に、第一印象を決定する大切なポジションですので
十分な接遇力を発揮したいものです。
また、同じ看護師でも、外来と入院病棟では、求められるものが若干異なるでしょう。
患者さま接遇に対する根本的な考え方は同じであっても、
それを業務の中でどのように表現すればよいかは、それぞれの職務によって違ってきます。
来院された患者さまがそこで出会う多くのスタッフ一人ひとりを介して、
「この病院で診てもらってよかった」と思ってもらえることが、病院接遇の最終目標です。
病院として同一の目標達成のために、部門それぞれでの接遇を具体的に考えていくことが必要でしょう。