人材育成コンサルタント&社労士の浜田純子です。
朝日新聞 デジタルによると、
昨日、妊娠を理由とする不利益な取り扱い(今回は降格)が違法だとする初の判断が最高裁により示されました。
広島市の理学療法士が勤めていた病院を訴えたもので、
妊娠を理由に業務が軽い部署への異動を希望したところ、異動後に管理職を外されたというものです。
一審、二審とも、「病院側は同意を得たうえで事業主としての必要性に基づき、裁量権の範囲内で行った」
として請求を棄却しましたが、
最高裁が、明確な同意や特段の事情がない限り、妊娠を理由にした降格は
男女雇用機会均等法が禁じる不利益処分にあたり違法だとし、
敗訴した二審判決を破棄し、広島高裁に差し戻す判決を出したようです。
「自由な意思に基づいて本人が同意した場合」と「業務を円滑に進めるうえで特段の支障が生じる場合」を
例外だとする基準も明示されています。
男女雇用機会均等法により
女性労働者の妊娠、出産等を理由として解雇その他不利益な取扱いをすることは禁じられています。
この法律を根拠とする今回の結果は、注視するべきものでしょう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
男女雇用機会均等法で、女性労働者の妊娠、出産等を理由として
解雇その他不利益な取扱いをすることが禁じられたのは、平成19年でした。
それから7年半ほど経った今日下された判断は、今後に大きく影響を及ぼすものと感じます。
女性にとっては嬉しいことであり、一方会社としては、厳しいと感じることでしょう。
時代は一歩一歩変わってきていることを今改めて認識しなければならないのかと思います。
一時的に軽い業務を希望したり、管理職という責任の重いポジションを離れたりということは
妊娠、出産、育児の期間を過ごす女性にとっては仕方のない場合もあるでしょう。
それが、その期間の心身の安定につながり、
精神的余裕を持って、プライベートと仕事を両立できるというメリットにつながることもあるでしょう。
しかし、すべての女性がそれを希望するわけではありませんし、
あくまでも本人の自由意思を尊重することが大切なのだろうと思います。
会社も、女性の生涯雇用を前提として、妊娠から育児までの期間、雇用管理に配慮するとともに
理想を言えば、たとえ諸事情で一旦は業務内容や立場が変わっても、
復帰後は妊娠前のポジションに戻れるような安心できる仕組みがあれば、
女性社員としても納得できるのかもしれません。
ただ、長いブランクを経ると、以前の感覚を取り戻したり、
変化した会社の状況に適応するのに時間もかかるでしょう。
また、保育園に預けたとしても、
赤ん坊を抱えていては、仕事だけに没頭できない事情も出てくるでしょう。
復帰とともに必ず元のポジションというのも、
最善の選択とも言えないというのが現実であるような気がいたします。
一方的に会社が不利益を与えるのではなく、双方の話し合いと歩み寄りにより
時期を見ながら納得して進めていくことが求められるように感じます。
とにもかくにも女性にとっては、朗報・・・
そのキャリアプランの中の一番大変な時期を乗り越えて、ますます頑張ってほしいとエールを送ります。